SEOやWebマーケティングについて調べたことがあるなら、一度は「コンテンツマーケティング」という言葉を聞いたことがあるでしょう。コンテンツマーケティングとはWebマーケティングの一種で、簡単に言えばコンテンツを使った企業と一般消費者とのマッチングをする仕組みです。
この記事ではコンテンツマーケティングの基本的な目的や、具体例を紹介したいと思います。
1.コンテンツマーケティングの目的とは?
コンテンツマーケティングの目的は、最終的には会社の利益を生み出すことです。その利益の中には、売り上げアップはもちろん、会員数の増加や商品やサービスの認知度の向上、ブランディングなど様々な要素が含まれます。マーケティングはどれもこのような利益を生み出すことを最終的な目標としています。
しかし、コンテンツマーケティングというマーケティング手法にもう少しフォーカスを当てるなら、コンテンツマーケティングの主な目標は「潜在顧客の獲得」と言えます。
コンテンツの力で潜在層を獲得するのが目的
コンテンツマーケティングの手法についてもう少し詳しく見ていきましょう。自社商品やサービスを利用してくれるお客は、主に「既存客」と「潜在客」とに大別できます。
既存客はすでに自社に商品やサービスについてよく知っていて、それを利用したことがあるか、現在利用している人たちです。商品やサービスにある程度満足しているので、積極的な働きかけをしなくてもある意味購買活動を期待できます。
一方潜在客とは、まだニーズがはっきり顕在化していない客層のことです。「自社の商品やサービスとその人が持っているニーズや悩み、疑問などが結びつく可能性があるものの、具体的なつながりはまだできていない状態にいる客層」とも言えるでしょう。
例えば家計のやりくりがうまく出来ていないと感じている人がいるとしましょう。ある家計簿ソフトを作っている会社のサービスは、その人にとって良いソリューションを与えることができます。しかし企業はその人のことを知りませんし、その人もその会社の商品やサービスについて認知していません。また、この時点でその消費者は「解決策=家計簿ソフト」というイメージもない状態です。この状態では会社とその消費者とは結びついていません。
では両者を結びつけるにはどうしたらよいでしょうか?「偶然認知してもらえるのを待つ」というのはマーケティングの概念とは異なります。また、CMなどをバンバン流すという方法もありますが、それだといかにも宣伝色が強いので避けられてしまうかもしれません。
そこで使えるのがコンテンツです。コンテンツによってその消費者が必要としているような情報を提供し、最終的に「家計簿ソフトを使うことが良い解決策になる」と思わせることができます。コンテンツではある程度宣伝色を抑えて、あくまでもその消費者にとって役立つ情報を与えることに専念します。そうすることで消費者は一つの「お役立ち情報」としてそのコンテンツを気軽に見る気になれます。
しかしコンテンツの情報に満足すると、具体的な改善ステップを探すようになるでしょう。そこで、コンテンツの中に自然な形で「こういう家計簿ソフトを使って同じような悩みを解決できている人がいる」というメッセージを送ります。そうすることでその消費者は商品について認知し、かつ、能動的にその商品にアプローチする環境が整えられます。
コンテンツマーケティングではこのような手法を通して、それまで「つながりがなかった潜在客層」に自社について認知してもらい、最終的にその人が自社にとって利益となる行動をしてくれるようにプロモーションを行います。コンテンツはネット上に24時間存在しているので、潜在客を引き寄せるチャンスが常にあることになります。
今はかなりの人が情報をネット上で調べるようになっています。そのため、消費者が自分のニーズや悩みを解決するために、関連するキーワードを使って検索をかける可能性は十分にあります。上述の例では「家計簿 やりくり 簡単」とか「収入 支出 バランス」といったキーワードを使うかもしれません。企業はそういったキーワードに焦点を合わせたコンテンツを用意することができるでしょう。
2.コンテンツマーケティングの具体的な例を紹介
言葉だけだと把握しきれない部分もあると思いますので、コンテンツマーケティングの具体的な施策を紹介したいと思います。
サイボウズ
まずは「サイボウズ」という会社の例です。サイボウズはグループウェアの大手ですが、「サイボウズを知らない人に認知してもらう」ことを目指してオウンドメディア「サイボウズ式」を立ち上げました。
このメディアには多くのコンテンツがありますが、製品PRや宣伝ではなく、一般消費者にとって役立つコンテンツをあげることに注力しています。
月間PV数は20万ほどですが、Facebookやはてなブックマークなどで、認知度やブランディングが成功しているのが数字に表れています。
マネーフォワード
「マネーフォワード」は会計関連のネットサービスを提供している会社ですが、こちらもオウンドメディア「MONEY PLUS」を用意しています。
このメディアを使って日常生活の情報を扱ったコンテンツが閲覧できますが、「生き抜くためのお金の育て方」とか「貯まる人はどうしてる?超初心者のためのお金管理術」など、思わず見たくなるようなコンテンツが目白押しです。また、結婚とか妊娠・出産、子育てなど、女性が興味を持ちそうなカテゴリーも多く、女性目線のメディアであることもうかがえます。
メディア内では宣伝色がなく、どちらかというと良質なコンテンツを提供し続けて検索ユーザーの満足度を高め、サイトへの再訪をプロモーションしているという感じがあります。月間セッション数は、5,000,000を超えるほどのサイトなので、コンテンツマーケティングの成功例の一つと言えるでしょう。
3 .まとめ
コンテンツマーケティングの目的は、潜在層の獲得です。コンテンツの力によって企業と一般消費者とを結びつけ、情報豊かなコンテンツに惹かれた消費者が、最終的に企業にとって利益となるアクションをするように促します。
ネットを使う人、またネットで情報を探す人が非常に多い現代にあって、コンテンツの力はますます大きくなっています。直接的な宣伝だけでなく、コンテンツという間接的な手法も今後ますます注目を浴びるようになるでしょう。